CULTURE

NEW 2020年10月15日

否定でも肯定でもなく、いまの自分を受け入れる。はましゃか流・自分の愛し方

 

イラストレーター、コラムニスト、俳優、モデルなど多岐にわたり活躍する、はましゃかさんをゲストに迎えた今回は、「自分を愛すること」について考えます。

大学時代、自身を「クズ」と卑下していたというはましゃかさんは、「ありのままの自分」を受け入れるまでに、どのような気持ちの変化があったのでしょうか? 本インタビューでは記憶を辿ってもらいながら、その道のりを聞きました。いまの自分を肯定的に思えない人に、彼女が発した「生産性のない日も受け止める」という言葉を贈ります。

 

はましゃか
1994年、北海道生まれ。多摩美術大学卒。新卒でフリーランスとして活動中。Instagramで発信する手書き文字を書き加えた #しゃかコラ や、女子力について疑問を投げかけたコラム「サラダ取り分け禁止委員会」が話題となり、SNSを中心に表現活動を展開している。ハフィントンポストなどに寄稿。

Instagram:@shakachang
Twitter:@shakachang
note:https://note.com/shakachang

 

「自分はクズ」。自虐しがちだった大学時代

——現在コラムニスト、俳優、モデルなど多岐にわたり活躍しているはましゃかさんですが、大学時代はなかなか環境に適応できず辛い思いをしたと聞きます。

はましゃか:当時は「自分はクズだ」と本気で思っていました。多摩美術大学に合格して、札幌から上京して一人暮らしをはじめた途端、いろいろと支障が出るようになって。

 

——どのような支障が?

はましゃか:授業はろくに出ることができないし、お金も全然管理できない。昼夜逆転の生活で部屋も散らかる。ものをすぐに失くすし、約束も守れない。でもほとんどの子たちは、一人暮らしでもきちんと大学生活を送っている。これはさすがに……と思っていました。

 

 

——そんな生活や行動を、周囲から否定されたこともあったのではないでしょうか。

はましゃか:周囲に否定されたというより、失敗して信用を失ってしまうたびに、「友達との約束も守れないなんて私はクズだ」と自分を否定することが増えていったように感じます。

高校時代は親の保護下にいたので、生活リズムが狂って授業に出られないということは起こりづらかったんですよね。大学に入ってスケジュール管理が極端に苦手だということがわかるまでは、周りに迷惑をかけてしまうことも多くて。「できない自分」ばかりに目がいく辛さが、日常的にありました。

 

 

友達に救われた、弱みを見せながら生きること

——そんな辛さから抜け出せたきっかけは何だったのでしょうか。

はましゃか:友達の存在が大きいですね。先ほどお話したような、私の特性を理解してくれる友達もいました。課題が忙しいときは、みんなで支え合いながら乗り越えたり、LINEでつねに連絡を取り合ってくれたり、「授業はじまるよ!」って家に起こしに来てくれたりする友達もいて。本当に優しかったんです。

 

——周りに助けてもらう秘訣は?

はましゃか:秘訣というと助けてくれた友達に申し訳ないのですが……。私自身が、もともと自分の弱さだったり悩みを見せることに抵抗がないからかもしれないです。もし本当に困ったら、「困ってないふり」をするよりも、すぐに口に出したほうがいいですよね。だって、心細いときに我慢して弱さや感情を見せないと、さらに自分を追い込んでしまったり、状況が悪化してしまったりすると思うから。ヘルプは出せるうちに出したほうがいいと思います。

 

 

——はましゃかさんは、SNSで自分の弱い部分について綴られているときもありますよね。

はましゃか:積極的に書いているわけではないんですけどね。もともとはSNSという友達以外も見る場でコンプレックスを書くのは恥ずかしくて隠したいタイプなんです。でも、弱い部分を思い切ってオープンにしてみたら、ヘンテコな人生って味わいがあるなって思えるようになって。私と同じ悩みを持つ人が「あるある」で笑ってもらえたら嬉しいです。

 

——「note」のなかで、「自分ができないこと」を明記していたのも印象的でした。

はましゃか:できないことを公表するのは、社会人としての義務だと思ってやっています。本当は、公表せずに済むのなら公表したくはないんです。でも仕事上、できないことを先に伝えておかないとトラブルになってしまう可能性がある。だからあれは、一種の注意書きです。あらかじめ伝えておけば、迷惑をかけてしまうことを少しでも減らせるかなと思ったので。

 

——特性やできないことを説明するようになって、周囲の反応に変化はありましたか?

はましゃか:最初はあまり理解してもらえませんでした。でも「本当に理解してほしい人には根気強く、詳しく説明する」というのを続けていくうちに、「それなら待ち合わせはこうしよう」というふうに工夫してもらえることが増えて。ほんとうに感謝しかないです。

 

 

「生産性のない日」も受け入れる。自分の愛し方とは?

——大学時代に比べて、いまは自分を卑下することなく肯定できていますか?

はましゃか:私の場合、自分を肯定するというより、他人を否定したくないという気持ちのほうが強いかもしれません。例えば2年前くらいのことですが、その頃、19歳から20歳になっただけで「もうわたしはババアだ」と自分を卑下する子が周りにいて。正直、自分も言っていた時期があったなとハッとしたんです。でも失礼ですよね。「20歳でババアだったら、それ以上の人はなんなの?」って。私自身がメディアに煽られて、若さ至上主義に染まっていることに気づきました。

あと、「今日は生産性がなかった」と感じてしまったときに、世の中にも目を向けてみたんです。そうすると、自分以外にも同じ特性を持ちながら生きている人がいるし、障がいや病気などによっていわゆる社会が求めるような生産的な活動ができない人がいることにも気づく。生産性がない自分を否定することは、そういった人たちも否定してしまうんだなって。

 

——積極的に肯定するのではなく否定しないということですね。

はましゃか:そうですね。否定でも肯定でもなく、いまの自分を受け入れる。それが「自分を愛する」ことにつながるのかなと思います。

SNSで「自分を好きになれない」という相談を受けるのですが、そういう方は「理想の自分像以外の自分」を嫌いだと思っていることが多いんです。でも、自分の期待に応えられない自分も受け入れることができれば、心地よく過ごせるはず。よりよく過ごそうとするのはもちろん素敵ですが、道半ばの自分も受け止めることを意識してみるのはどうでしょうか。

 

 

自分の肯定より、「自分のいる環境」を愛すること

——自分を受け入れるときに、周囲の人も含めて考えるというはましゃかさんの姿勢が素敵だと思いました。

はましゃか:「自分」を肯定するよりも、「自分のいる環境」を愛することのほうが、私にとっては自然なことなのだと思います。そもそも、「自分」として認識している範囲が広いというか。自分が住んでいる街や周りの友達は、自分を構成する要素だという感覚があって、それらをまとめて肯定している。

 

——「自分ごと」の領域が広いんですね。

はましゃか:そうですね。私はなぜか自分と他人の境界線をあいまいにとらえてしまうところがあって、距離感に失敗することもあるのでよくも悪くもなんですが……。損得感情もあまりなくて、財産を自分だけで独り占めしようとも思わない。自分は地球のなかに住んでいる人間の集団という感覚。

自分ごとである範囲って人それぞれだと思うんです。自分と恋人、家族、会社、国、世界いろいろな規模があるけれど、私は「地球の運営スタッフ」くらい、なるべく広い範囲で自分ごとだと思いたいというか(笑)。だから自分と同じくらい、周りの人たちも大切にしたいです。

 

——なるほど。では最後におすすめしたい「心地よく過ごすためのコツ」はありますか?

はましゃか:ひとつは友達と褒め合うことです。私は謙遜しあったり自虐しあったりする関係性よりも、褒め合ったほうが100倍楽しい。相手を褒めることで褒められ返しを待つというのではなく、自分から「見て見て!」とか言って「今日はここを褒めてほしい」って伝えています(笑)。

だから気軽に言葉にして褒め合える相手がいるといいと思います。自己肯定感は1人でつくり上げていくものじゃなく、環境がつくり上げるものだと思うんです。大きく変えられなくても、小さな変化を大切にしながら褒め合えば、自分や周りの好きなところがたくさん見つかるかもしれないので、おすすめです。

もうひとつは、自分に小さなプレゼントをしてあげること。それはおいしいご飯を食べることや、部屋を清潔にするといった些細なことでいいと思います。あたり前に思えるかもしれませんが、私にとっては難しいことなんです。これに気をつけるだけでQOLが爆上がりします。「自分のお世話をしてあげる」ということを意識して行うことで、自分を愛せるというか。いまより少し心地よい気持ちで過ごせると思います。

 

 

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