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本当に「気持ちいい」コミュニケーションとは? AV男優・一徹が考えるセックスとセルフプレジャー

 

AV男優として活躍し、女性のセルフプレジャーを盛り上げ続けている一徹さん。彼が語るのは「女性ももっとセルフプレジャーをしたほうがいい」ということ。なぜなら、セルフプレジャーによって「自分が望むこと」の解像度が上がり、パートナーとより良いコミュニケーションができるのではないか、と思うから。

 

一徹さんが考える女性のセルフプレジャーの大切さ、セックスにおけるコミュニケーションについての考えなど、ご自身の経験談を交えながら語ってもらいました。読者から寄せられた性にまつわる赤裸々なお悩みにも回答いただいていたので、最後まで要チェックです!

 

一徹
女性向けAVメーカー「SILK LABO」で「キング・オブ・エロメン」と称され、人気AV男優として活躍。独立後は自身のレーベル「RINGTREE」を立ち上げ、男優として活動を続けている。著書に『セックスのほんとう』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)ほか。

twitter:@1102_ringtree
ブログ:http://ittetsu-log.officialblog.jp/

 

「今日はいい仕事ができた」と思っていたら、女優さんからNGが…。自分の勘違いに気づいたことも

——まず、一徹さんがお仕事をするうえで、女性にリラックスしてもらうために意識していることはありますか?

 

一徹さん:女優さんとできるだけ信頼関係が築けるようなコミュニケーションを心がけています。前もって怖いことや苦手なことを具体的に聞くことも多いですね。「女性」と一言で言ってもやっぱりいろんな方がいらっしゃるから、同じ行為でも、好きっていう人と絶対にNGっていう人がいて。

 

「こうしてほしい」という要望や、されて嫌なことを直接言われてきたことで、コミュニケーションに対する意識が高まりましたし、本当にいろいろ学ばせていただきました。能天気に「今日はいい仕事ができた!」と思っていたら、後日その女優さんからNGを食らって「ぼくが勘違いしていたんだなあ……」とあとから知ったこともありましたね。

 

一徹さん

 

——言葉で直接的に要望を伝えることにハードルの高さを感じる女性も少なくないと思うのですが、そういう人はどうしたらいいと思いますか?

 

一徹さん:セックスの最中に「もっとこうしてほしい」ということを口で伝えづらい場合は、女性が自分でからだの位置をずらす、というのもいいなと思いました。ある女優さんが、正常位のときに腰を動かしたりしながら自分が気持ち良くなるように角度を変えていて。そうすると女性が主体的にセックスを楽しんでくれているようにも感じられますし、とても素敵だなと。

 

「ここは譲るけど、ここは主張を聞いて」。ギブアンドテイクの関係を築くこと

——一徹さんは、積極的に自分の気持ち良さや心地良さを追求していく女性に対して、どんな印象がありますか?

 

一徹さん:いいと思いますよ。むしろどんどんオープンに追求していったらいいと思っていて。でも、セックスで言えば、自分の気持ち良さの追求よりも、「恋人に嫌われたらどうしよう」と感じて相手に合わせてしまうこともありますよね。その思いやりは素敵だけれど、自己犠牲ありきで成り立つ関係って長続きするのかな? とも感じます。

 

そういう関係って結構きついし、続けるには覚悟がいる。だから、あんまり我慢しなくていいとぼくは思いますよ。自分自身も勉強中ですが、相手を傷つけずに自分の気持ちを伝える方法を学んだり、お互いにギブアンドテイクできるように「ここは譲るけど、ここは私の主張を聞いてくれたら嬉しい」っていうことを、一緒に模索する関係を築けたほうがラクなはず。

 

——自分も相手も気持ち良くリラックスしてセックスするためには、やはりまずは「自分が何を気持ちいいと思うか」を知っておくことが大事ですね。

 

一徹さん:そうですね。セルフプレジャーすることによって、自分がどういうことに快感を覚えたり、燃えたりするのかということがわかる。だから、個人的には女性ももっとセルフプレジャーをしたほうがいいと思います。セルフプレジャーで自分の好きなポイントを知ることができたら、パートナーにも具体的な提案がしやすいと思いますし、セックスに対する考え方自体が「相手にこうされたから、私はこう思った」ではなくて、「私はこういうことが好きだから、こうしたい」と変化していく気がします。

 

嫌なことを伝えるのももちろんいいけれど、相手は「否定された」と思う場合もあるから、むしろ好きなことや気持ちいいと感じることを言葉にしたら伝わるんじゃないかな。リアクションがなければ「良くないんだな」と察せると思うので(笑)。

 

一徹さんが手がけるレーベル「RINGTREE」

 

「みんなセックスのハードルを上げすぎだと思う」

——昨今はセックスレスの悩みを抱えるカップルも多いです。セックスレスによって精神的なつながりにも影響が及んでしまう場合もあると思いますが、マッサージやスキンシップなど、直接的な性行為の手前にあるコミュニケーションは、カップルの悩みの改善につながると思いますか?

 

一徹さん:まず、セックスレスのお悩みって本当に多いけど、みんなセックスのハードルを上げすぎではないでしょうか。スキンシップだけでもお互いを尊重できたり、気持ち良くなれて精神的なつながりを得られたり、満たされるのであれば、それだけで十分セックスと言っていい。

 

いわゆる挿入ありきのセックスを1か月以上していないカップルはセックスレスと言われるそうですが、JEXの調査(※)によると日本の男女の約5割がセックスレスなんだそうです。

 

でも、5割がセックスしていないんだったら、もはやそれって普通じゃない? って思うんですよ。プロの男優でさえプライベートはセックスレスという方もいるくらいですし、劣等感や焦りを持ってしまい、普段の生活を楽しめなくなってしまうのはもったいないですよね。
※「【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2020」より

 

 

——irohaのようなセルフプレジャーグッズをパートナーとのスキンシップに取り入れるのもありでしょうか?

 

一徹さん:そうですね。会話のきっかけになるし、「こういうグッズがあるんだけど使ってみない?」と言うことから、マンネリがちょっと解消することもあると思います。ただ、ぼくは男性側の立場なので、仮に女性からこういったグッズを差し出されてどう思うかな、と考えたら、ちょっと自分のハンドだと物足りないのかな……って自信がなくなっちゃったりもするかも(笑)。

 

実際に物足りないのであれば、粛々と受け止めないといけないけれど、そうじゃなかったら「物足りないわけじゃなくて、コミュニケーションの一つとして楽しみたい」と伝えてくれたらありがたいです。「楽しみたいんだよ」という気持ちでこういうグッズを渡してくれるのはめちゃくちゃ嬉しいです。

 

女性から性のお悩みを相談いただくことが多いのですが、「彼が濡らしてくれなくて、せっかちなんです」とか「前戯がおざなりなんです」とか相手ありきのものが多いんですよ。たとえば、濡れにくかったら潤滑剤を使ったり、マッサージから始めてゆっくりスキンシップを楽しみながら潤わせていったり、ツールに頼るなどして、女性も主体的にセックスを楽しめたらいいなと思っています。

 

一徹さん「irohaはとにかく見た目がおしゃれで手に取りやすいと思いますし、まずはいろいろ試してみてほしいですね」

 

ハプニングから真剣相談まで。読者から一徹さんに聞きたい6つの悩み

——ここからは、読者の方々から事前に寄せられたセルフプレジャーやセックス、性教育にまつわる6つのお悩みにお答えいただけたらと思います。

 

結婚生活30年です。お互い相手にセックスを求める気持ちがなくなってきているのですが、セックス以外で楽しくワクワクドキドキして心がときめいて仲の良い関係を送っていくにはどうすればいいと思いますか?(50代女性/パート・アルバイト)

 

一徹さん:結婚ってワクワクドキドキというよりは安定していたほうがいいですよね。30年続いているわけだからもう十分仲がいいんだと思います。セックスであれば、irohaのようなプロダクトを使ってみるのが現実的でいいんじゃないかなと思いますが、セックス以外であれば、「ふたりで」ということにこだわらなくていいのではないでしょうか。

ずっと一緒に時間をともにしてきたと思うので、余裕があるのであれば2拠点生活をしてみたり、それぞれ違うところで過ごしてみたりして、会ったときにお互いぜんぜん違う環境で過ごした体験談を共有すると新鮮でワクワクしそうです。

 

 

マッチングアプリなど、出会いのツールが増えましたが、「ヤリモク」という言葉をたくさん聞きます。「ヤリモク=悪い」という風潮がありますが、一徹さんはからだの関係から始まる恋愛ってどう思われますか?(20代女性/学生)

 

一徹さん:マッチングアプリのことをよくわかっていないのであまりえらそうなことは言えないんですけど、基本的にぼくはからだの関係からつき合うタイプ。マッチングアプリだと後腐れのないつき合いができるかもしれないし、職場や友人のコミュニティーなど、これまでの人間関係や普段の肩書きを取っ払った、そのままの自分を見てもらえる感じも楽しいと思います。

逆に言うと、どこの誰かよくわからない人と出会うわけだから、やっぱり注意は必要ですよね。女性のほうがリスクを引き受けないといけない場合も多いと思いますし。相手が出してきたお酒に変な薬が入っていたとか、最近では盗撮する人もいると聞きます。そういうリスクもあると知って注意したうえで楽しむのであればいいかもしれません。

 

夫が遅くなるということで油断して、お布団で一徹さんの作品を観ながらゴニョっとしましたが、気づくと朝……。寝落ちしていました。夫が隣で寝ています。パニックです。起きた夫に恐る恐る「私のこと嫌いになってない?」と聞くと、あっけにとられた様子で、「なんで? 嫌いになるわけないやん」とのこと。これはバレていますよね!? 妻がAVを観ているのって、嫌じゃないですか?(50代女性/パート・アルバイト)

 

一徹さん:全然嫌じゃない! 気にしなくていいと思いますし、ぼくはむしろかわいいと思いますよ。その完璧じゃないスキのある感じや、それを恥ずかしいと感じていること自体に萌えますね(笑)。男性も女性もこっそりと、秘密めいたことがあるほうが魅力的。オープンな感じも好きですが、そういう恥じらいがありつつも、やっぱり求めてくれるとぼくは嬉しく感じますね。

 

 

女性なのにセルフプレジャーをしている自分は変だと思ってしまいます。どうしたら罪悪感が消えるのでしょうか。(40代女性/パート・アルバイト)

 

一徹さん:例えば、性にまつわるトークイベントなどに参加してみるのはどうでしょう? セルフプレジャーをしている女性の話を聞いて、「あ、こういう人もいるんだ」と知ることで、自分の欲求に肯定的になれるかもしれないです。中高生向けのウェブサイトですがセイシルなど、いろんな情報にどんどんアクセスしてほしいですね。セルフプレジャーは普通のことだとわかるし、性欲を恥じることはないんです。

 

初体験のとき痛かったので、小声で「イテッ」と彼に伝えたら「かわいい」と言われ逆に興奮されてしまい、彼がイクまで我慢することになりました。初めてや久しぶりの場合、痛みがあったら、どう彼に伝えれば良いでしょうか?(40代女性/会社員)

 

一徹さん:初めてのときは特に難しい部分もあると思うのですが、この場合ははっきり「痛い」って言っちゃっていい。さっき伝え方を考えたほうがいいと言いましたが、この場合は、相談者さんのからだが傷ついているわけですよね。きっとすごく痛いだろうし、それを我慢するのはきついはず。だから、相手が少しショックを受けたとしてもはっきり伝えていいと思います。

久しぶりにセックスするときに痛いと感じるようであれば、いちばんベーシックな方法は、潤滑剤を利用すること。なぜか多くの男性は、「濡れている=感じている」という意識があるから、女性が濡れていないと「感じていないんじゃないか」と不安になるんですよね。だから「感じてないわけではないんだよ」と誤解を解いてあげたうえで、リラックスできる環境を互いにつくり、会話しながらじっくり楽しんでいく。男性だって、女性に痛がられるよりは気持ち良くなってほしいですからね。

 

 

私は年頃の子どもたちに性にまつわる本をプレゼント(というか読んでほしい)と思っています。でも主人は「自然と学んでいくと思うから渡さなくていい」派です。特に、母親が息子にそういった本を渡すのは息子本人が困ったり、嫌な気持ちになるのではないか、とも言います。たしかにそれも一理あると思うのですが、一徹さんはどう考えますか?(40代女性/パート・アルバイト)

 

一徹さん:ぼくだったら、お母さんから本を勧められると身構えちゃうかも。でも、近年のSNSの発達に法律の整備や、技術が追いついていなくて、子どもたちが無修正の激しく演出されたセックスの動画に無料でアクセスできてしまうんですよね。何もわからないと、動画を真似した行為がセックスだと思ってしまう可能性もあるから、射精しなきゃセックスじゃないとか、激しい前戯をすれば女性は必ずイクとかっていう情報は違うんだよっていうことなど、性についての知識を得る必要はあるんじゃないでしょうか。

でも、人それぞれ個性があるから、「これが正しい性教育です」っていうのもすごく難しいですよね。だから、実際におつき合いしたパートナーをリスペクトしながら、恥ずかしがらずに「嫌だ」「嬉しい」と意思表示し合うこと、好きな人の言葉から学ぶことが、何よりもメッセージになるはず。まずは本人が性に興味を持って知りたいと思ったときのために、本を置いておく、くらいにしてみるのがいいかもしれないですね。

 

一徹さん×iroha 無料オンラインイベント開催決定! アーカイブ動画を公開中

この度、「iroha CONTENTS」でのインタビュー記事公開を記念して、一徹さんとiroha(広報・犬飼)で無料オンラインイベントを開催することになりました! 詳細は以下ページをご覧ください。みなさまのご参加をお待ちしております◎

※イベントは大好評のうちに終了いたしました。アーカイブ動画を視聴いただけますので、あわせてお楽しみくださいませ。

 

 

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