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低用量ピル(OC)について/丹波咲江先生

丹羽咲江先生

咲江レディスクリニック院長

1991年 名古屋市立大学医学部卒業。日本産婦人科学会専門医、日本性科学会幹事。現、咲江レディスクリニック院長。性科学者。

 

患者目線で対等に話せる親しみやすい診療が評判で、性交痛など話しにくい内容も気軽に相談できる。クリニックで診療する傍ら、女性の性やこころの問題について、全国各地で講演活動を行う。

咲江レディスクリニック:http://www.sakieladiesclinic.com/

 

監修DVD:『女医が教える 女のからだと心のヒミツ』
女性と男性の心とからだの違いをわかりやすく解説し、パートナーとのより良いコミュニケーション技法が学べるDVD。不妊、更年期障害、妊娠・性感染症の3つのテーマごとにドラマが設定されています。ピルの解説をしている妊娠・性感染症のドラマでは、ピルのメリットについて詳しく説明しています。ピルはマイナスイメージのある薬で、パートナーに反対されて服用を諦めてしまう女性が多いですが、そんな女性やパートナーに是非見ていただきたいです。

低用量ピル(OC)とは何でしょうか?

“排卵をおさえて避妊をする薬”です。

ピルを服用するということは、

1.排卵後から生理が来るまでの状態
2.妊娠している時

 

と同じ状態を作り出し、もともと女性の体内(卵巣)で自然に作られるエストロゲンとプロゲステロンを同時に出す状態を作り出し、排卵をおさえています。

 

また、ピルには低用量ピルの他にも、中用量、超低用量ピルがあります。ピルの中に入っているエストロゲンの量によって3種類に区分されています。

 

一般的な診察で処方されるのは低用量ピルですが、ご利用される方の生活環境や目的によって用量の違うピルを処方してもらえることもありますので医師にご相談ください。

低用量ピルだけでは防げない性感染症を防ぐには?

必ずコンドームを使ってください。

もちろん、ピルだけではクラミジア、エイズなどの性感染症(STD)を防ぐことはできません。必ずコンドームを使ってください。ピルとコンドームを両方使って、妊娠と性感染症のダブルブロックをオススメします。

 

ピルには避妊の他にも、女性に嬉しい効果がありますか?

低用量ピルには、避妊以外にも以下のメリットもあるため、避妊以外の効果を期待されて来院される方がたくさんいらっしゃいます。

 

避妊以外のメリット

<メリット>
・生理不順の改善(月経周期も規則正しく28日周期になる)
・生理痛の軽減
・生理の出血量を減らす
・生理前の体調不良(イライラ、頭痛等)の改善
・顔の吹き出物を改善する
・体毛が薄くなる
・子宮内膜症を予防する
・一部の人は更年期症状の改善がみられることもあります。

どのようなデメリットがありますか?

個人差がありますが、一時的な不快症状と言われる副作用がほとんどです。

副作用に関しては個人差があると思いますが、実際には、一時的な不快症状と言われる副作用がほとんどです。デメリットに関してはQ&Aにてお答えしますね。

 

Q. 太りやすくなる?
A. 低用量ピルを服用することで、ホルモンバランスが安定して神的に落ち着くことから食欲が増加する影響も考えられますが、服用後には2、3キロ体重の増加が見られることがあります。ただ、服用後3ヶ月頃から体重の増加もほとんどみられなくなります。

 

Q. 頭痛や倦怠感、吐き気は?
A. ピルを飲み始めると、最初の2~3日、吐き気やむかつき、頭痛、むくみ、乳房の痛みなどの症状が起こることがありますが、身体が慣れるまでの一時的なもので、症状は次第に楽になっていきます。少量の不正出血が起こることもありますが、たいていは4~5日でおさまり、長い人でも2~3サイクル飲むと症状はなくなります。

 

Q. 不妊症になる?
A. ピルを飲んだからといって、将来不妊症になるという心配はありません。ピルを飲んだほうが不妊症になる確率は低いという結果が出ています。ピルは服用をやめれば避妊効果はなくなります。また、ピルを飲むことによって不妊症の原因となりやすい「子宮内膜症」という病気を予防することができます。

 

Q. 血栓症になる可能性が高くなる?
A. カナダ産婦人科学会によると、静脈血栓症発症により致死的な結果となるのは100人あたり1人で、低用量ピル使用中の死亡率は10万人あたり1人以下と報告されていますので可能性は低いですが、服用の際には医師によく相談されて納得されてからの服用をお勧めします。

 

Q. ガンになる?
A. 乳がんや子宮頸がんになる可能性がわずかに高まると言われています。しかし、ピル服用中も定期的に検査を受けていればこれらの早期発見が可能です。また、ピルを服用している人は、卵巣がんや子宮体がんなど、がんによる死亡率が15%低下するといわれています。

 

※服用中に肝斑(シミのもと)が出る方もいますので、服用中の日焼けは避けたほうがいいかもしれません。

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